ビタミンCリサイクルのメカニズム

糖転移ヘスペリジンは、人の体内のビタミンC濃度を維持する作用があることが明らかになっています。体内で使用され、本来の機能を失った酸化型ビタミンCを元状態の還元型ビタミンCに戻す「リサイクル」の働きがあると考えられています。
そのメカニズムについて、試験をもとに説明します。

ビタミンCの消耗を抑える働きは、糖転移ヘスペリジンの生理活性の主体であるヘスペレチンが関与していると考えられています。ヘスペレチンとは、ヘスペリジンの核となる部分。ヘスペレチンとビタミンCをラットの脾細胞に添加し、調べました。

添加後に細胞内のビタミンC量の変化を調べると、ヘスペレチンを添加した細胞は、添加していない細胞に比べて、還元型ビタミンCの割合が増えることがわかりました(※図1)。これは、酸化型ビタミンCを還元型に戻す酵素をヘスペレチンが活性化しているからと考えられます。

ヘスペレチン添加による細胞内ビタミンC量の変化

ヘスペレチン添加による細胞内ビタミンC量の変化

実際に、細胞内の各種遺伝子の発現を解析すると、細胞内のビタミンCのリサイクルに関与する2種類の酵素遺伝子(TR1、DHA-R)の発現が促進されていることが明らかになりました(※図2)。

酸化還元系に関わる遺伝子発現量の変化

酸化還元系に関わる遺伝子発現量の変化

これらの結果から、ヘスペレチンがTR1、DHA-Rの2種類の酵素を増強することによって、ビタミンCを酸化型から還元型に効率よく変換し、細胞内のビタミンC濃度を維持していると考えられます。