糖転移ヘスペリジンの体内動態
(株)林原生物化学研究所 開発センター 山田未佳
糖転移ヘスペリジンの体内動態とバイオアベイラビリティーを調べ、従来のヘスペリジンとの比較をおこなった(図1)。試験では両被験物質をそれぞれ水に溶解あるいは懸濁してラットに投与し、血中ならびに尿中の代謝物について調べた(図2)。その結果、糖転移ヘスペリジン投与後の血清には、ヘスペリジン投与と同様に、ヘスペレチン‐グルクロン酸抱合体が検出された(図3)。その抱合体は糖転移ヘスペリジンを投与した方が、ヘスペリジン投与より速く血中に現われ、また、糖転移ヘスペリジン投与後の抱合体の血中濃度曲線下面積(AUC)はヘスペリジン投与後のそれよりも有意に高かった(図4)。糖転移ヘスペリジン投与後の各組織、尿および糞中においてヘスペリジン投与と同じ代謝産物が検出され、それらの代謝産物量はヘスペリジン投与よりも多かった(図5〜7)。以上より、糖転移ヘスペリジンはヘスペリジンと同様の体内動態を示すこと(図8)、さらに糖転移ヘスペリジンは速やかに吸収され、バイオアベイラビリティーが高まったことが確認された。
図1)G-ヘスペリジンの酵素分解 |
図2)G-ヘスペリジンの体内動態試験 |
図3)β-グルクロニダーゼで処理したラット血清 |
図4)ラット血清中 ヘスペレチン抱合体 |
図5)ラット肝臓中 ヘスペレチン代謝物 |
図6)ラット腎臓中 ヘスペレチン代謝物 |
図7)ラット尿中 ヘスペレチン代謝物 |
図8)G-ヘスペリジンの代謝 |